“新しいコミュニケーション”を開発する仕事をしています。これまでメーカーは商品のことを消費者に知ってもらうため、テレビCMや雑誌・新聞広告など、いわゆる“マスコミュニケーション”を主体としてきましたが、多様化する今、“マス”だけでは届きにくくなってきています。そのため、SNSや1to1、D2Cといった新しいコミュニケーションを開発することが求められており、僕は新たなスキーム・企画を立案し、プロデュースする仕事をしています。

当社の「エマール」がタカラトミーさんの「リカちゃん」とコラボして、リカちゃんの洋服や靴、バッグ、髪型、メイクなどを自分の好みで自由にコーディネートできるWEBアプリを開発して、2019年11月20日～2020年2月19日までの間、限定公開しました。また、このWEBアプリでコーディネートした”私だけ”のリカちゃんがラベルになる、「Myリカちゃんボトル」も数量限定で販売し、そのパッケージとして「グレイスパット」を採用しました。

配送時期をクリスマスとバレンタインという“ギフト”シーズンに当てたため、受け取った時の“ギフト感”をお客様に楽しんでほしかったのと同時に、“インスタ映え”するパッケージを探していました。箱を開けた瞬間に商品が際立って見えるので、“特別感”が表現できて今回のキャンペーンに使いたいと思いました。「リカちゃん」と言えば“ピンク”ということでパットも外箱の内側も外側もピンクにしました。「ここまでやるか！」という、いわば「狂気」がないと世間はバズらないのです。

一切広告を出しませんでしたが、ツイッター上でトレイド入りし、Yahooニュースや日経ビジネスといった記事にも取り上げられ、一躍話題となり「大成功」でした。パッケージごと撮影された写真が投稿され、“インスタ映え”狙いも成功だったと思います。今回のキャンペーンは、リカちゃんのコーディネートアプリだけでもダメだったし、オリジナルボトルの販売だけでもダメだったと思います。この2つが組み合わさったことで、ニュース性が生まれて話題になったと思っています。

実は、前から自社のECサイトで商品を売ってみたいと思っていて、今回それが実現した初の試みでした。今、世間でも「D2C」（ダイレクト・トゥ・コンシューマー）が話題になっていますが、今後、自社ECをブランドにより愛着を持ってもらう場所にしていきたいと思っています。今回のリカちゃんコラボエマールのようなカスタマイズ製品など、D2Cだからこそできる、ブランドと消費者の絆が深まる「ファンマーケティング」を提供していきたいです。

今回のキャンペーンで、当初はグレイスパットにデジタル印刷でグラフィックを施す案も考えていました。しかし、コストの兼ね合いもあり、カラーライナーを使用しました。今後、D2Cでカスタマイズ商品を展開する機会などがあれば、印刷付きグレイスパットにも興味があります。ただ、もう少しコストが下がることを期待します（笑）。受け取った方がワクワクするパッケージ。今後とも、是非、ご一緒に開発していければと思っております。